yamacb’s blog

病気がちな体質ですが、色々な事をブログに載せていきたく思います。

石鹸が有効。

世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスへの感染を予防するには「とにかく石けんを用いた手洗いに尽きる」と呼びかけています。世界各国の研究機関が全力で新型コロナウイルス対策に乗り出している中、「なぜ画期的な新技術や強力な新薬ではなく、昔から身近に使われていた石けんがウイルス対策に効果的だとされているのか」について、専門家が分かりやすく解説しています。

「一体なぜ、石けんはSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)、ひいては普通のコロナウイルスやほとんどのウイルスに効果的なのでしょうか?」という疑問に答えたのは、ニューサウスウェールズ大学の超分子化学の専門家であるポール・サンダーソン氏です。サンダーソン氏はTwitterでの計25回の投稿を通じて、石けんがウイルス対策に効果的である理由を解説しました。

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そもそもウイルスとは何かについて、サンダーソン氏は「ほとんどのウイルスは、RNAたんぱく質・脂質という3つの構成要素から成る自己組織化ナノ粒子だといえます」と説明しています。ウイルスは厳密には生き物ではないので、超分子化学の立場からすると「自然と自分と同じ構造をつくりあげるナノサイズの粒子」だということになるのだとのこと。

ここで重要になるのは、ウイルスの中核であるRNAを保護しているのが、脂質の膜だという点です。ウイルスの粒子は一般的に、エンベロープという膜で保護されおり、このエンベロープの多くは脂質二重層でできています。脂質二重層の組織はまるで面ファスナーのようにがっちりとかみ合っているため物理的に分解することは困難ですが、分子同士は非共有結合でつながっているので、化学的な結合力そのものは弱いのだとのこと。

そして、石けんには脂質を溶かしてしまう作用があるので、石けんにさらされたウイルスは「トランプで作ったピラミッド」のように簡単にバラバラになってしまいます。これに、石けんが手の表面から汚れを除去する効果も加わるので、石けんはウイルス対策にうってつけだとのこと。

ドラッグストアなどには手洗い用の石けん以外にも、抗菌作用などをうたったさまざまな製品がありますが、「それらはウイルスの構造にはまったく影響を与えないので、普通の石けんには勝てません」とサンダーソン氏は指摘。多くの衛生用品は「石けんの高価なバージョンに過ぎません」と断じました。

唯一の例外はアルコール消毒です。アルコールは60%を超す程度の濃度になると、脂質を溶かす溶剤としての作用が非常に強くなります。そのため、市販されている濃度60~80%のアルコール消毒液は石けんと同様の仕組みで効果的にウイルスを不活性化させます。しかし、石けんでの手洗いと違ってウイルスごと汚れを除去する作用はないので、石けんほどの効果は見込めないとのこと。

ウイルスが含まれただ液の動きをシミュレートした別の研究でも、ウイルス対策にはアルコール消毒より石けんでの手洗いの方が効果的であるという結果が示されています。

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その一方で、アルコール消毒は比較的短時間でウイルスを不活性化することが可能で流水も必要ないので、オフィスの受付など石けんでの手洗いができない場所に向いているとのことです。